Haruyoshi Nagae

朝、吐息と雨

2021.12.18 久しぶりの雨だった。 長い時間を刻む時計の音を聞きながら、まどろみを溶かすように朝を迎え入れる。 布団からはみ出した足が少し冷えていた。 少しずつ身体が目覚めるのを待ちなが

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幻想知覚数え歌

娘の住まう世界にはおそらく人がおらず、彼女は日々、五感、あるいは六感への刺激に感心するばかりだった。 ただ、その刺激を記憶することはなく、感情の芽生えることもない。彼女が涙を流すのは、何十年もあとのこ

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鏡の目

朝食のパンを切っていると、知らない音が聞こえてきた。それまで聞こえていた虫の声や車の音がぼんやりと滲むように広がって、音に全身を包まれたような気持ちになった。 彼女はよくこんな場面に出会う少女だった。

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