ある孤独を拭えぬ夜だった。
心臓の位置がいつもと違うように錯覚する。
遠い他人というものから発せられる、優しくも鋭い言葉を飲み込むように、私は柔らかく撫でられていた。
星を最後に見たのはいつだったか。寒くて仕方がないからカーテンを開けずに夜をやり過ごす日々だ。
それでいい。それでいいはずだった。
星がよく、流れる日がたまにあるらしい。寒さを我慢して空を見上げる日があっても良いかもしれないと考え、毛布をお供に窓を開けた。
夜は不思議だった。お昼は特に、空と宇宙の断絶をはっきりと認識できるのに、夜は真っ直ぐに宇宙に居るような、星々に囲まれるほんの少しの畏怖。
私は境目を知るためだけに、夜を見上げているのかもしれない。そう思うと、ぽつりぽつりと流れ星、私は空を見たかった。
身体を温めることも忘れること数刻、空と宇宙の狭間を通ると光るらしい。私の探し物はあんなところにあったのだ。
星の眠る頃、ようやく目を閉じる気分になってきた。目が覚める頃にはまた空があり、その果ての暗闇はすぐに忘れてしまうだろう。こういう夜の気持ちは頭の隅に、大事な記憶としてたまに呼び起こすのだろう。
私は少しだけ、宇宙を好きになれる気がした。